リードアンドフォローのロープワーク
(T=トップ S=セカンド),(【1】から【6】まであります。)
【1】準備
TS…クライミングギアを装着する。

*ギアを吊り下げるためのスリング(:ギアスリング)を左手を通して右肩にかける。ザックを背負ってから60cmスリングX本(内1本は120cmスリングの両末端をカラビナで連結したもの)を右手を通して左肩にかける。HMSカラビナ1ヶをハーネスのビレーループにかける。安全環付普通カラビナ2ヶと普通カラビナXヶとその他(ハーケン&カム&ナッツ&ナッツキイetc)をギアスリングにかける。腰のハーネスのギアラックにヌンチャクYヶをかける(X+Y≒12)とビレー器をかける(カラビナで吊す)。

*肩幅が小さい場合はスリングが肩から外れてしまう可能性がある。また、ロープを巻いて肩にかける場合は肩にかけたスリングが取れなくなる。それらの場合は小さくまとめて腰(ハーネスのギアラック)に吊るして携行し、必要な場合のみ肩にかけるようにする(写真左はスリングに撚りをかけて吊るす方法、写真右はアルパインヌンチャク)。
└3分
TS…ロープの上と下を作る(ロープをほどく)。
└2分

*ロープの末端(末端Aとする→反対側を末端Bとする)をセカンドにわたしてセカンドのハーネスに末端Aを結ばせる。
*ロープをほどき地面の上にどんどん重ねて行く。
*ロープをほどいて末端B(一番上)まで来たら、トップのハーネスにその末端Bを結ぶ。
TS…ロープで互いにつながる(独語でアンザイレンと言う、エイトノットプラス留め結びで結ぶ)。
└サイレント67秒
*シングルロープの場合ビレーループの左側に結ぶ。
(参考)右側に結んで誤りではないが、右利きの人の場合はビレー動作が見やすいので、左側に結ぶことを勧める。ハーネスのビレーループが通る部分は耐熱補強が施されていますが、ビレーループ自体は補強されていないです。ビレーループに直接ロープを結んではいけません{結ぶなら安全環付カラビナ2枚(反対方向に向けて設置)を介して下さい}。
*ダブルロープの場合ビレーループの左右両側結ぶ。
(参考)ダブルロープの場合ビレーループの左側に一本結び、もう一本はビレーループにつけた安全環つきカラビナに結ぶという方法がある。ロープのもつれを素早く直せるので便利である。この方法はハーネスの取扱い説明書に書かれてないので安全度の検証はなされていないと承知していなければならない。
S…セルフビレー(ビレーヤーの立つ位置に注意)・・・①
*立ち木などのしっかりした支点があれば長く太いスリングをタイオフしてそれにカラビナをかてカラビナを反転させ、それにメインロープを使ってクラブヒッチ(インクノット)を施してセルフビレーをセットする。
*後ろの立木(セルフビレーをセットした立木)と最初の支点(ハーケン等)を結ぶ直線上で、しかも、セルフビレーにゆるいテンションがかっかっている位置に立つのが理想。
*上からの落石が避けられるようにセルフビレーをセットする。
*墜落の可能性のない平坦地からスタート出来るシングルピッチの岩場ゲレンデの場合はセルフビレーをセットしない。
*セルフビレーをセットしないセカンドの場合(主にシングルピッチの岩場)とセルフビレーをセットしたセカンドの場合(主にマルチピッチ2ピッチ目以後の場合)のどちらも同じで、トップが墜落すれば正面の岩壁に激突する、だから、一個目の中間支点の真下で、岩壁にピッタリくっついた位置に立ち、トップが中間支点の三つ目をセットするまでは岩壁から離れないこと。
*ルンゼやクラックの下には立たない(落石の通り道)、少しでも岩がリッジや稜になっている所の下に立つ。
*上に人(トップや他パーティ)がいれば必ず石が落ちて来ることがわかってビレーする(もちろん上に人がいなくても落ちて来る)。休憩も含めて岩場の下や中にいる時は全て、セカンドだけでなくメンバー全員が落石に対する注意を怠らないこと。←落石が来たらそれを最後までそれを見てかわすこと。
*参考資料(ビレーヤーの位置)を参照のこと。
S…トップのビレイはボデイビレーで

*ビレー器具はATC、ハーフマスト、エイト環から選択
*ダブルロープの場合はATCで、沢登りの場合はエイト環で
S…「ハーネスオーケー」
*セカンドは『トップのハーネスとロープとが確実に結ばれているか。ハーネスのベルトがバックルの所で折り返されているか(折り返さなで良いタイプもある)。』を点検して指差し呼称する。
T…「ビレーオーケー」
*トップはセカンドのビレーシステムのセット状況を点検して指差し呼称する。
└5分
S…「登っていいよ」 T…「行きます」
T…「見えなくなって、合図も聞こえない場合はロープがいっぱいになったら登って下さい。」
【2】トップ(リーダー)の登攀
T…ランニングビレー
*1つ目のランニングビレー(支点構築の3要素)
①早く→ビレーシステムの構築(1つ目はセカンドのための要素が大)
②短く→グランドフォールを避ける(2つ目からはロープの流れのために長くして可)
③強く→ヌンチャク(=クイックドロー)使用がベター(1つ目は墜落の際にかかる衝撃が大、衝撃吸収力有・短く・超軽量なヌンチャクがあると良い)

*ロープの流れを考えてスリングの長さを決める。
└Ytube1分
└Ytube88秒
└Ytube3分
└3分
*ハーケンにスリングを通してスリングを二つに折りそこにカラビナをかけカラビナを反転させ、そのカラビナにロープをクリップする場合が多い。
*ハーケンの穴がつぶれていることが多いので幅の細いスリングが有効、ヌンチャクは使えないことが多い。
*ハーケンなどの支点が不足している場合は潅木を使ったりハーケンを打ち足したりナッツを使ったりして補足する。
*ナッツ回収器(チョクッレンチ)を携行するとそれに助けられることが多々ある。
*ヌンチャクのクリップは事前に練習しておくこと(左右の手の2通りとフィンガークリップとバックハンドクリップの2通りの積4通りを日を変えて何回も行い、どちらなのかを考えないでも出来るように)。逆クリップやZクリップをしないように。

フィンガークリップ=カラビナのゲートがクリップしようとして挙手した手の親指側にある場合の方法。カラビナの下を中指で押さえ、人さし指と親指で挟んだロープをゲートに押し込んでクリップする。下記のバックハンドクリップより簡単に感じる。.
バックハンドクリップ=カラビナのゲートがクリップしようとして挙手した手の小指側を向いている場合の方法。中指の先の親指側にロープを載せて人差し指を軽く添え、ロープをカラビナのゲーに押し付けるようにすると同時に、親指でカラビナの反対側を押さえる。中指でなくて人差し指の先端の親指側にロープを乗せる人もいる。
逆クリップ=上に引かれるロープを、カラビナの上から下に向かって、そのカラビナを、通過してから上に向かうようにクリップしてしまうこと。フィンガークリップとバックハンドクリップの練習をすることで、逆クリップしないようになる。
Zクリップ=ロープがクリップされているヌンチャクの下からロープを引き上げて、その上のヌンチャクにクリップしてしまうこと。ロープとヌンチャクの摩擦でクライマーは先に進めなくなる。ハーネスのビレーループ隣のロープの結び目付近からロープを引き出してクリップする練習をすることでZクリップしないようになる。
S…「あと二十メートル」、、「あと十メートル」
*セカンドはトップにロープの残りの長さを知らせる。
*残りのロープがなくなった場合、セカンドは自分のセルフビレーを解除して、トップとロープいっぱいの距離を保ちつつ登り始める。
T…テラスにてビレーポイントの設営(一行下の①~③などの方法をその場の状況で選択する)、同時にセルフビレーをセットする。
【3】ビレーポイント設営
ビレイポイント動画集35本
└Ytube2分
└Ytube6分
*ビレーポイントの設営には

①メインロープを複数の支点にクローブヒッチで連結する(荷重の流れを考えて連結の順を決める)
②デイジーチェーンとメインロープによる固定分散を使用する(デイジーチェーンに衝撃吸収力がないことを知っていること)
③スリングによる固定分散を使用する

④180cmスリングを使い流動分散から固定分散に移行する
・・・などの方法がある。
*固定分散の項をごらん下さい。
*衝撃荷重が緩和出来るので、出来るだけメインロープを使ってセルフビレーをセットすること。
*支点とハーネスをスリングで結ぶだけのセルフビレーのセットは、それに必然性がある場合を除いて、勧められない。
◆例えば、2ピッチ目を登り出して、2m登った所で、中間支点をセットする前に、トップが墜落したとする(もちろんトップは出来るだけ早く1つ目の中間支点をセットしなければならないのだが、ついつい遅れてしまうことはよくある)。
◆セカンドは予定外の方向(上でなく下)に引きずり落とされる厳しい状況になりながらビレーの手を握り締めることだろう。ビレーがうまく行けば、トップはビレーヤーの2mの下まで計4m墜落した所で止まることになる。
…セルフビレーをデイジーチェーンやスリングでセットしていた場合は2mのメインロープで衝撃を吸収する。
…セルフビレーをメインロープ(例:長さ1m)でセットしていれば、2mにセルフビレーの長さ1mを加えて3mのメインロープで衝撃を吸収することになる。メインロープでセルフビレーをセットした方が衝撃吸収能力が大幅に向上する(この例では5割増)。
【4】ロープアップ&セカンドをビレー
T…「ビレー解除」
S…「ロープアップ」、「ロープいっぱい」
T…ロープをたぐり上げる

*たぐり上げたロープは足下に置くか、ロープを置けるほどのスペースがない場合はセルフビレーに振り分けて掛ける。
└Ytube1分
T…セカンドに対してのビレ-方法は以下から選択
エイト環グリップビレー 参考

(太かったり古く毛羽立ったロープ向き、細いしなやかなロープには制動力不足、緩斜面や滝登り用)
・ロープのセット方法がシンプルで初心者でも扱いやすい。ロープが濡れてもOKで滝の落ち口でのロープの屈曲に対応出来るので沢登りに向いている。
・エイト環は輪の大きいクラシックタイプを使用すること。輪の小さい物や輪が四角の物はロープの流れがスムーズでなく使いにくい。
・緩い斜面向き。
・太いロープや毛羽立った古いロープだけでなくロープが濡れていても対応出来る。細いロープ、新しくて毛羽立っていないロープに対しては制動力不足。
・ロープのキンクがあまり生じない性質があるのでロープドラッグが大きいルートに向いている。
・蛇行が少ない垂直なルートででしかも新して細いロープ(例:7mm)を使っている場合には制動力不足になるので次の方法で対応すること。
①エイト環の近く(30cm程度)に立っている場合はビレーヤー側のロープを上方向に引き揚げ上げて制動力を増す方法と併用する。
②エイト環の下方遠くに立っている場合はビレーヤー側とクライマー側のロープ2本を束ねて握るグリップビレーと併用する。
③ビレーヤー側のロープをビレーヤーの体側に沿わせて制動力を増すことと併用する。
・オートロックがかからないので、ロープのテンションを緩めることやセカンドをロワーダウンで降ろすことが容易に出来る。
・附録:エイト環は、2本のロープを使うダブルロープの場合のセカンドのビレーはオーケーだが、トップのビレーには向かない(エイト環の中を1本のみロープが高速で動くともう1本のロープを痛める可能性が高いので)。ダブルロープで登るトップのビレーには、ATCガイド(左右非対称形)又はクラシックタイプ(左右対称形)ATCが適している。
・附録:エイト環は懸垂下降のロープセットが非常に簡単でシビアな場所や状況で懸垂下降をする場合に強力なアイテムとなる。エイト環は結び目通過が容易に出来る。
ハーフマスト支点ビレー 参考

(ロープを選ばない、短いルート向き、ロープを張り気味でビレーするとロープが激しくキンクする)
・セカンドのビレー状態から吊り上げシステムに移行しやすくガイドが用いることが多い。
・緩斜面~垂直~オーバーハングの岩場までルートの角度を選ばない。
・超細い補助ロープから太いロープや毛羽立った古いロープにも対応出来る(ロープを選ばない)。
・正しくセットすること、ハーフマスト結びは離れた所からではチェック出来ない。
・岩角などでロープの擦れ(ロープドラッグ)が大きく、ロープを引き上げるのに力がいる場合には、引き上げる距離が長いとロープが激しく捩じれる(キンク)する。
・オートロックがかからないので、ロープのテンションを緩めることやセカンドをロワーダウンで降ろすことが容易に出来る。
・附録:ハーフマストは、2本のロープを使うダブルロープの場合のセカンドのビレーはオーケーだが、トップのビレーには向かない(HMSカラビナの中を1本のみロープが高速で動くともう1本のロープを痛める可能性が高いので)。ダブルロープで登るトップのビレーには、ATCガイド(左右非対称形)又はクラシックタイプ(左右対称形)ATCが適している。
・附録:ハーフマストヒッチは懸垂下降のロープセットが割と簡単だがその方法は広く知られてはいない。また、長い距離の懸垂下降だとロープが激しくキンクする。
ATCガイド(orルベルソキューブなど)でビレー
(新しくてしなやかで、8ミリ~9ミリの細い径のロープ向き
・ATCガイドを支点に吊るす(ATCガイドのビレーホールと支点を普通の安全環付カラビナで連結する)。次にATCガイドの横に書かれた略図のようにロープをセットする(このセットにはHMSカラビナを用いること)。ネジ式の安全環が便利(安全環の閉め忘れおよび強く締めすぎないように注意!)
・上の写真の場合はクライマーがやや左側から登ってくる場合でこのHMSカラビナが左にあった方がロープの操作性が良い。
・セカンドの墜落に対して自動的にロックがかり、さらにそのロックを解除出来る仕組み(小さい穴)があって、便利である。
・セカンドが落ちてロープに吊られると水流に向かう場合は使用しない方が良い(セカンドが溺れる可能性有り)。なので沢登りには向かない。
・セカンドをビレーするセット方法とオートロックの解除法に習熟すること。
・オートロックの解除法に習熟していても、その操作はデリケートで時間がかかる。
・強いテンション(例:途中に中間支点が少ない状態での宙吊り)の場合、筋力弱く体重も少ない人(線の細い人)がオートロックの解除をするのはかなり大変である。
・ビレー中に手を離すことが出来るので「2本のロープの片方だけを引き上げる」とか「ガイドがビレーポイントに上がって来たお客様にセルフビレーをセットしてあげる」などの作業がしやすい。
・ATCガイド(左右非対称形)は太いロープや毛羽立った古いロープを使用するとロープがビレー器の中をスムーズに動かず苦労する。ちなみに、クラシックタイプATC(上下左右対称形)は太いロープや毛羽立ったロープでもロープはスムーズに動くが、セカンドをビレーする場合は支点有り返しビレーを使うことになりめんどうである(後述)。
・附録:ATCガイドは、2本のロープを使うダブルロープの場合に使いやすい。
・附録:ATCガイドでトップをビレーする場合に、ATCガイドの横に書かれた略図のように使うハイフリクションモード(ハンガーボルトの様な強い支点用)と、それと反対のギザギザ側にクライマー側のロープあるように使うローフリクションモード(ハーケンや手打ちボルトの様な弱い支点用)があって、使いわけられる。
・附録:ATCガイド及びクラシックタイプATCは懸垂下降のロープセットは2本のロープをセットする分だけ面倒なので、懸垂下降器としてはエイト環よりかなり不便である。
・附録:オートロック型のビレー器は「ジジ」、「ルベルソー」、「カラビナビエンテ」など昔からいくつかあるが、どれもロックの解除が大変である。解除用の小さな穴(解除ホール)をビレー器を吊るす穴(ビレーホール)の反対側に付加するという発明(たぶん2006年発売のルベルソーキューブが最初)されて、ATCガイド型のビレー器具が、2014年の現在、多くのクライマーに受け入れられるようになった。しかしながら、そのロックの解除は思ったより簡単でないので(練習が必要)、ATCガイド型のビレー器のさらなる改良を望んでいる。
解除法①:解除ホールに補助ロープを結び、そのロープを上部の適当な位置に作った支点から吊るしたカラビナに通し、さらにビレーヤーのハーネスと結ぶ(補助ロープに弛みがないように結ぶ)。ビレーヤーはビレーの手側のロープをしっかり持ちながら(ガクンと落ちるように解除されるのを防ぐために)、ゆっくりとしゃがみながら補助ロープを引いて、ATCガイドをロックが緩む向きに(ビレーホールを中心にして)回転させる。
解除法②:解除ホールにカラビナのゲートのバネでない側を引っかけて、それをテコにして、ATCガイドをロックが緩む向きに(ビレーホールを中心にして)回転させる。腕力の弱い人の場合はこの方法が出来ない可能性が高いし、習熟していないとガクンと落とす状態で解除してしまうので、解除法①を最優先させること。
解除法③:HMSカラビナを上下にキコキコと動かす(数センチメートルオーダーでわずかにロープを緩める方向に動かすことが出来る)。
・附録:1つのATCガイドで後続2人に繋がるロープを2本同時にビレーすることが容易である。しかし、一人だけ降ろすことが大変なので注意が必要である(テンションのかかっていない方のロープにフリクションヒッチを施してからロックを解除しなければならない。
・附録:ATCガイドでロープを登る方法がある。即ち、ハーネスのビレーループに降りる方向にロックする(登りはロックしない)ようにそれをセットし自分で自分をビレーしながらロープを登る(ホールドが豊富な緩斜面に有効である)。
腰がらみ(凹地に座って行う) 参考

(確実に身につけておきたい必要技術)

(支点が確実でない→腰がらみを第一選択)
腰がらみ別タイプ
①ATCボディビレー(腰がらみの一種、セカンドに正対して行う)
②エイト環ボディビレー(腰がらみの一種、セカンドにし正対して行う)
・太いとか毛羽立つとかの使い勝手の悪いロープでも対応できる。かえって、太くて毛羽立っている方が制動力が強くなる。
・ビレー用の支点が不安な場合あるいはそれが無い場合は腰がらみしかない。←重要
③ATC支点折り返しボディビレー
・折り返しの支点への加重が、その支点にATCガイドを吊るす方法(ビレーホールを用いて吊るす)でビレーする場合の2倍(静的に荷重した場合)になるので、最近は使わない方がベターと考えられている。しかしながら、ATCガイドやルベルソーキューブによる支点ビレーではテンションのかかったセカンドを降ろすことは出来ないが、支点折り返しビレーならばセカンドを降ろすことが容易になる。トップが入れ替わりゼロピンをセットした時と同じ状態なので、トップの入れ替わりがスムーズになる。引き上げたロープをセルフビレーにかけることが難しいので、狭いテラスや足元に水が流れている時には使いにくい。
速さ重視のビレー(各種)
・肩がらみビレーは自分より充分に体重の少ない相手に有効、しっかりした足場の場所で行うこと。そうでない場合は座って行う腰がらみビレーを行うこと。
・岩角(or樹木or鎖場の鎖or太い杭)にロープをからめてビレーする技術はビレーの原点、身につけておきたいものだ。(岩角がらみは人間より大きいくらいの動かない岩を利用のこと)
・グリップビレーは最速、緩斜面などで有効な場合が多い。
・ATCグリップビレー(=ロープをセットしたATCのHMSカラビナを支点から吊るし、ATCのすぐ下でロープを握ることでグリップビレーする方法)は普通のグリップビレーよりは2本のロープを握り締める場所が分かりやすい。本質的にはグリップビレーなのでATCを介していても他のビレー器のように簡単にはロープを停止出来ないので、初心者及び中級者は使うべきではない。上記グリップビレーと共に、太くて古くて毛羽立っていて、ハーフマスト支点ビレーが使えないほどに流れの悪いロープに有効である。
・エイト環簡易掛けはロープが凍った時とか太いロープ2本でダブルロープで登る場合に使える。ロープが流れすぎるのでしなやかなロープに対しては使わないこと。
・附録:懸垂下降で肩がらみというビレー器を使わない方法がある。緩斜面向きで急斜面や空中懸垂ではロープが体に食い込みながら擦れるので痛くてつらい。
【5】セカンドの登攀
T…「登っていいよ」 S…「行きます」
S…セルフビレーの解除、ランニングビレーの解除。
【6】セカンドとトップがテラスで合流
S…テラスにてセルフビレー
*登攀具の受け渡しは複数回に分けて行うこと。
TS…休憩も可
TS…TSの距離が近いほど危ない。
*ロープが短いと衝撃吸収力が少ない。
*支点が少なくなるのでシステムの強度が落ちる。
*危ない事は安心した時に起こる。また、危ない事はいくつかのヒヤリとした事を何度か回避した後、予期せぬ時起こる。
【7】2ピッチ目
TS…ビレーシステムの変更
*支点ビレーを使っていた場合はボデービレーに変更(支点折り返しビレーの場合は変更なし。支点折り返しビレーは支点にかかる負担が大きく、ロープの操作性も今一歩なので最近はあまり使われない)
*トップが入れかわらない場合(ロープの上下の入れ替え‘=ロープの上と下の作り直し’、①に戻る)
T…ゼロピン
*トップが登り始めて1つ目のランニングビレーをセットする前に落ちた場合、およびランニングビレーをセットした後で落ちたらランニングビレーがすべて飛んで(破壊され)しまった場合に備えて、トップは登り始める前に、セカンドのビレーポイントに連結された支点にクリップしてからスタートする。ゼロピンは省略されがちなので、やさしいピッチでもゼロピン必ずセットして、習慣にしておくべきである。
└Ytube3分
└Ytube3分
リードアンドフォロー「ビレー解除」の合図が届かない場合
└Ytube4分
@トップがビレーポイントに着き、セルフビレーをセットしてセカンドに向かって「ビレー解除」と合図を送ったが、風の音や水の音にかき消されて合図が届かない、
あるいは届いているのだがセカンドからの「ロープアップ」の合図が返って来ないことがよくある。
@合図が届かない場合はトップはロープアップをしてはならない。トップはロープアップをせずにセカンドのビレーシステムを作り、
セカンドをビレーするつもりでロープを少しずつたぐっていく。ロープがたぐれない場合はセカンドがブルージック方式
(沢登りノートのロープフィックスの項
を見て下さい)で登って来るのでビレーの姿勢をずっと保って待機する。
@セカンドは「ビレー解除」の合図が来ないからトップのビレーを解除出来ないでいる場合と、
「ビレー解除」は届いたが「ロープアップ」の合図がトップに届かないのでロープがどんどん引き上がらない場合がある。
どちらの場合もあせらずの「ロープいっぱい」の状態になるのを待つ。
@セカンドは「ロープいっぱい」の状態になったら、セルフビレーをほどき登り始める。
@トップとセカンドとの合図の行き来がなくてロープがいっぱいになった場合には、トップはセカンドをビレーしているか、
50メートル(or 45メートル)いっぱいにロープが伸びた所を登攀中のどちらかの状態になっている。
@トップがセカンドをビレーしている場合はその時点で問題は解決されている。
@トップが50メートル上を登攀中の場合はコンテニアスクライミングになるが、途中にランニングビレーがいくつも入っているのでかなり安全な状態にある。
セカンドはロープをたるませることなく50メートルの距離を保って登りつづければよい。長く登らないうちに、いずれ、トップはビレーポイントに到着して、
ロープが一時的にストップし、再び上がり出す(セカンドのビレーをしている)。セカンドはロープに引かれるに従って登って行けばよい。
@セカンド、サード、フォースと何人も後続がいる場合がある。セカンドはロープがいっぱいになったら、そのロープを固定してしまいブルージック方式で登ります。
トップと連絡が出来る所まで登ったら後続に様子を伝達します。連絡が届かない場合はクライムダウンして連絡します。ロープがもう一本ある場合はトップからのロープの末端につながり、
サード以降のためにもう一本のロープを引いて登るのでも良い。
合図(技術のコンセンサス)
@2004年5月第四週の葛葉川は締め切り手続きのタイミングが遅れて、定員10名を大きく上回る18名の大部隊となりました。遡行の途中から雨が降り出し気温も下がって長く立ち止まるとかなり寒い状態でした。中盤にある高さ7メートルの滝をリーダーのMはロープを出して登り、ロープウェイ方式(「岩登りの注意」のページにあるエイト環グリップビレーの項をごらん下さい)で後続のメンバーを滝の上げようとしました。一本のロープでは時間がかかるので、「もう一本ロープを上げて!」と下にいるスタッフ会員のSさんに向かって叫びました。でも、滝の音に消されて内容が伝わりません。それで、Mは自分の手に持ったロープを「コレ、コレ!」と指差して、その指を上に向かって二回突き上げて「アゲテ、アゲテ!」とジエスチャーしました。何度やってもなかなか伝わらず、もう一本のロープが上がったのは10名ほど滝の上に上がった後でした。
@沢登りの技術は目的や安全度は同じでも、山岳会や登山教室や登山ガイドによって微妙に手順が異なります。Timtamの沢に何度も行く会員であるならばTimtamの沢登りの技術でコンセンサスをとっておかなければなりません。Timtamの沢に二ヶ月に一度くらい行きながら1年も経てば、沢の音が大きくて、会話がまったく聞こえなくても、Timtamのやり方では、次にどんな行動に移るかがわかるようになるのです。予定している行動に移っていい時は両手で頭の上に丸を作り、ちょっと待たねばならない時は両手を頭の上でクロスしてバツを作ります。少なくともリーダーとサブリーダーはそれだけで通じる関係であるべきです。
@丸やバツを出しても見えないし声も聞こえない時にはホイッスル(バスケットの公式審判用のやつが音が大きい)を吹きます。丸の場合は鋭く一吹き「ビー!」、バツの場合は短く何回も吹きます「ビ、ビ、ビ、ビッ!」。
@丸やバツも見えないしホイッスルも聞こえない場合はロープの動きをみて判断します。トップの引くロープが出ていってロープ一杯になったら、合図が聞こえなくてもセカンドは登り出します。3人目、4人目がいる場合はセカンドは二本目のロープを引いて(ビレーしてもらうのがベスト)登ります。岩登りの注意のページの「ビレー解除の声が届かない場合」の項もごらん下さい。






◆初心者には次のような対策が必要です。
①途中でのレストの方法、終了点や途中からロワーダウンの方法を練習してから登ること。
②上からのロープが弛んでいたら「張って下さい!」とビレーヤーに伝えること。
③ロープが緩んでいるのにどんどん登らないこと。
④上の折り返し支点から降りてきて初心者のハーネスにつながるロープを手繰って登らないこと。
⑤ビレーヤーから上の折り返し支点に上って行くロープは手繰ってもよい(ゴボウで登ることになる)。
⑥手を離す時は大きなテンションをビレーヤーに要求してから手を離すこと(テラスとか岩角に当たらないようにする)。
⑦クラックに手や足をジャミングしている時は不意に落ちないこと(ジャミング部分に大きな衝撃がかからないようにする)。
◆トップロープクライミングによる大きな怪我は登り始めに起きやすい。クライマーからトップロープの支点を経由してビレーヤーまでの ロープの長さは登り始めが最大であるからで、「墜落した時のロープの伸びは数メートルになってグランドフォールの可能性がある。」
と知っていなければならない。登り始めは必要以上にロープを張って(テンションをかけて)おくこと。
◆トップロープクライミングによる重大事故は、トップロープのセットの時と回収の時に起きている。
他のメンバーを待たせている、一人の孤独な作業である、朝一番で体が暖まっていない、日暮近くで帰りを急いでいて疲れていて注意力
が散漫になっていてる、トップロープの安心感がセットや回収の危険を忘れさせる、などの理由がある。トップロープのセットと回収は
その山行のリーダー(or熟達者)が行うべきである。そうでないメンバーの場合はリーダー(or熟達者)が同行し慎重に安全をチエックするべきである。
*トップロープのセットに熟達してないのに「回収は私が行きます」と進言して来る人が多いので要注意!
終了点について、トップロープをセットしてからロワーダウンで降りる。(フリー系の岩場でのリーダーの動作)
└Ytube3分49秒
@トップロープの支点を新たにセットするのは終了点の消耗を少しでも減らすため & トップロープが残されていてもそのロープの脇を別パーティがリードクライミングで登れて同ルートの終了点を使ってロワーダウンすることが出来るようにするためである。
@ロワーダウン用に設置されたリングやカラビナなどを支点として使わずに自分のカラビナでトップロープの支点を作る。
@終了点の様々な状況に合わせてトップロープの支点を作る。
・まず、長めのヌンチャク等でセルフビレーをセットする。
・ビレーヤーにセルフビレーをセットしたことを知らせる(ビレー解除ではない、ゆるめるだけ)。
・終了点を作る二つ以上(太い生きた立木の場合は一つでも可)の支点(支点の強度によりその数は自分で決める)を使ってトップロープの支点を作る。
・トップロープのかかる所はゲートを反対に向けたカラビナを2枚使用すること。安全環つきカラビナであっても2枚使用する(安全環が回ってはずれた例がある)こと。
・終了点のボルトとか鎖とかに向きを変えた二つのヌンチャクをかけてトップロープの支点を作ることが多い。二つのヌンチャクにそれぞれ均等にトップロープの加重がかかるようにすること(ヌンチャクをかける鎖の穴の位置を工夫するとかスリングを使って長さ調節するなど)。
・終了点のボルトの穴に残置のロープが通っている場合は、ボルトの穴のロープの下にカラビナをかけるかスリングをかけて
支点工作をする(ロープの上にカラビナをかけてそれに加重をかければ、ボルトの穴とカラビナに挟まれてロープが傷む)。
@フリークライミング協会の設置した終了点の場合は長いスリングで流動分散をかけて支点を作って良い(支点を守ることにつながる)。流動分散は一方の支点が壊れた時にハンマーで打ったような衝撃がもう一方の支点を直撃するので一般的ではない。
@「ゆるめて」とビレーヤーに言い、自分で作ったトップロープの支点のカラビナ2個(自分のカラビナ)にロープをかける。
@「テンション」とビレーヤーに言ってロープを張ってもらう。
@ロープに体重を移して安全を確認したらセルフビレーをはずす。
@「降ろして」とビレーヤーに指示してロワーダウンする。
@次の人が順番待ちをしている場合にトップロープを残させてもらう場合はロワーダウンしながらヌンチャクを全部回収する。
岩場が貸し切り状態で次の順番待ちの別パーティがいない場合はヌンチャクを回収しないでそのままロワーダウンする。
ヌンチャクを回収しないで次の人がトップロープクライミングすれば、たくさんのランニングビレー(ヌンチャク)にロープが通っているので安全度を大きく高めることが出来る
(ロープを引き抜けばリードクライミングも出来る)。
@トップロープを使ってクライミングを楽しんだら、最後の人はトップロープを残さないでロワーダウンで降りる方法を使って降りる
(トップロープセットに使ったヌンチャクやスリングは回収する)。
@レンチ13mm,17mm,19mmを持って行き、ボルトのネジを締めながらなロワーダウンしたいものだ(寒暖の差でネジはいずれ緩んでくる)。